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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「はは……、悪い悪い。皆ありがとう、こんなの初めてで、良い記念になったよ」

 双子と妹を見つめ、微笑んだ太一は、

「あ、初めまして。円の兄の真行寺 太一です。5泊6日お世話になります」

 そう流暢な英語で、初体面となるダリルへと にこやかに挨拶する。

「ご丁寧にどうも~~。アタシは、ダ・リ・ル。ダリル・フォスターよ。篠宮邸の麗しき居候ヨン! てか、あらまあ、爽やか系イケメンじゃな~いっ❤」

 どうやらダリルは、男を見れば からかわずに居られない性質らしく。

 差し出された握手の手を掴み上げ、自分へと引き寄せようとしたが、

「お、お兄ちゃんは駄目!」

 男2人の間に割って入った 155cmの小柄な円が、両腕を伸ばしてダリルを止めてくる。

「あら、どしてェ~?」

 緑の瞳を煌めかせながら、じいと見下ろしてくるダリルに、

「へ、へたれ だからっ お兄ちゃんはダリルを満足なんて、させられないよ!」

 若干ビビりながらも、円はそんな主張を展開し。

 そして その背後では、

「……ま、満足……」

 微かにそう呟いた兄の太一が ごくりと生唾を飲み込み、引き攣った笑みを浮かべているのだった。





 朝比奈が運転する黒塗りリムジンの中、まだ14時だというのに、ダリルと円はシャンパンで乾杯し始め。

 もれなく太一も付き合わされていた。

「太一さん、髪短くなりましたね~?」

 ペリエのグラスを傾けながら、隣の太一を覗き込めば、

「うん。もう日本は暑くて暑くて。今年中は外回り中心の営業だから、思い切ってすっきりしたんだよ」

 以前より さっぱり短めになった黒髪を指で梳く太一は、やはり母親似で。

「ですよね~。私も2週間前まで「いつの間に日本は、熱帯雨林気候になったんだぁ~!?」で喚いてましたよ~」

 1週間限定の帰国の事を思い出し、げんなりしたヴィヴィに、

「ん? ヴィヴィ、日本にいたの?」

 発言に引っ掛かりを覚えたらしい円が、尋ねてきて。

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