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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

 4日間計8公演も行われるアイスショーは、英国と日本のみならず、世界中から注目されていた。
 
 なにせ、15歳で双子揃って、男子・女子シングルの五輪頂点に輝いた篠宮兄妹は、超が付くほどの有名人。

 例えミュンヘン五輪2022 でヴィヴィが台落ちしようが、その功績は延々と語り継がれるものだから。

 よって、英国と日本のテレビ局・新聞社のみならず、特にフランス、ロシアのメディアも多く駆け付け、

 双子は5日間のショー期間中、多忙を極めることになった。

「ヴィクトリア選手、英国で自身初となるアイスショーを立ち上げるまでになった、今の気持ちをお聞かせ下さい」

 ザ・サン社のインタビュアーの問いに、ヴィヴィはにっこりと微笑む。

「はい。とにかく「嬉しい」の一言に尽きます。生まれた頃から毎年、ロンドンとエディンバラには里帰りしていて、私にとっては故郷も同然の場所。そこでショーが出来て、皆さんに生で見て貰えるなんて、今でも夢を見ているようです」

「親族の方々も、それはお喜びでしょう?」

「はい。特に両家の祖父と祖母が。ショーをすると決まった時、飛び上がって喜んでくれました」

 灰色の瞳が幸せそうに細まり、それをテレビカメラがズームしていた。

「さて、英国国民としては、どうしてもこの話題に触れないわけにはいきません」

 勿体ぶった言い方をするインタビュアーに、

「あ、はは。はい」

 何を聞かれるか大体予想が付いたヴィヴィは、へらっと締まりのない顔で笑う。

「現在、ヴィクトリア選手とクリス選手は21歳。あと少しで、国籍の選択を迫られると思いますが?」

 確かに。

 インタビュアーの言う通り、現在 日英二重国籍の双子は、22歳に達する前に国籍の選択をしなければならず。

「そうですね。なかなか難しい選択ですね」

 ザ・サン社は、大衆紙のタブロイドを扱う新聞社。

 あまり変な受け答えをすると、何を書かれるか解らないため、ヴィヴィは慎重に言葉を選ぶ。

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