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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

 もちろん彼女とて、世界中のショーに招待される、人気スケーターなのだが。

 その現五輪女王と、元五輪女王のヴィヴィが共演するという事で、大きな注目が集まっていた。

 というのも――

(まったく、周りが騒ぎすぎなんだよね~。ヴィヴィアン と ヴィヴィは “犬猿の仲のライバル” だって……)

 互いに同じ21歳で、背恰好も同じ。

 体重はヴィヴィの方が少し軽いくらいか。

 ミュンヘン五輪で一躍 脚光を浴びたヴィヴィアンとは、その後の国際試合の度に、各国メディアに事細かく比較され。

 興味本位で両者の優劣を付けられ、外野だけで “日米ライバル対決” と盛り上がっていた。 
 
 元々、ヴィヴィはジュニアの頃から世界のトップに君臨していたが、ヴィヴィアンは遅咲きの選手で。

 試合で顔を合わす様になったのも、実は五輪のプレシーズンから。

 そして何故か(後から聞いたところによると)、彼女のコーチが「篠宮選手と馴れ合うな」と命令したらしく。

 かくして、

 両者は顔を合わせても、社交辞令の挨拶を交わすくらいの関係でしかなかった。
 
 その2人のぎくしゃくした関係性が大きく転換したのは、昨シーズンの終わりのこと。

 日本で行われた、国別対抗戦のエキシビション。

 そのバックヤードで、目の前を歩いていたヴィヴィアン・リー選手が、タオルを落としたのだ。



『落としたよ?』

 拾い上げたヴィヴィが、目の前の細い背中をつんつん突きながら指摘すれば。

 さっと振り返ったヴィヴィアンは、何故かぎょっと瞳を見開いていて。

『リー選手の、でしょう?』

 こてと金色の頭を傾けながら続ければ、

『あ、ありが、とう……』

 ぎくしゃくとタオルを受け取った、彼女の表情の中。

 何だか後ろめたそうな色が、浮かんでいるのに気付いて。
 
 そのまま踵を返し すたすたと先を急ぐヴィヴィアン・リーを、咄嗟に呼び止めていた。

『ねえ、アン? イギリス、来たことある?』

『ア、アン……? って、わ、私のこと?』

 ぱっと振り返ったヴィヴィアンは、きょとんとしながらも、自分を指差していて。
 
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