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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章       

 言い辛そうに口を噤んだ妹に、兄はようやく察したらしい。

「ああ、 “こっち” には、匠斗連れて、しょっちゅう泊まってるからね」

「そう、なの……?」

(瞳子さん、仕事お忙しそうだから……? それが “お兄ちゃん達の普通” なのかな……?)

「だから、ヴィクトリアが気に病むことはないよ」

 握っていた細い手首を解き、ぽんぽんとあやす様に撫でられて。

「……う、うん……」

 ようやくホッとした表情を見せたヴィヴィに、匠海は微笑みながら促した。

「ほら、もう行かないと」

「あ……、じゃ、じゃあね」

 執事が起こしに来ると焦ったヴィヴィは、いそいそと漆黒のベッドから降り。

 くるりと、元いた場所を振り返れば、

「うん。行っておいで」

 朝日の差し込まぬ、薄暗いベッドの上。

 気だるげに手を振って見送ってくれる、色気満載の匠海に、

(ふにゃ……っ!? か、格好良過ぎる……っ)

 ぽっと頬を染めたヴィヴィは、焦った様に自分の私室へと戻って行ったのだった。
 
 結局、

 その日の夜(昨夜)も、会社帰りに わざわざ添い寝に来てくれた兄は、

 さすがにもう、篠宮邸に泊ることは、なかったけれど――



 日本の東京という、すぐ傍に居るのに。

 平日だから会社のある匠海とは、そんなにべったり一緒に居られる筈もなく。
 
 だから例え数十分でも、自分に逢いに来てくれるのは、本当に本当に嬉しい。

 けれど、

 自分が幸せを感じる一方、義姉や甥に淋しい思いをさせているのではないかと思うと、

 何とも言えない気持ちにもなって――





『次は~、京都~、京都~。お降りのお客様は、お忘れ物の無い様、お気を付け下さい。
 The next stop is KYOTO――』

 新幹線の車内アナウンスに、はっと現実に引き戻されたヴィヴィ。

 どうやら自分も、いつの間にかウトウトしていたらしい。

 下車予定の新大阪駅の手前である事に気付くと、爆睡しているクリスを必死に揺り起こす。

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