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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章       

「もうっ 2人とも能天気なんだかラ! 聞いて驚くな~!?」

 全く興味を示す様子の無い双子に焦れたダリルは、そう己でハードルを上げ。

 そして、

「なんと、モニャコ公国の皇太子が、オックスフォード大学に編入したらしいのヨンっ!」

 まるで世紀の大発明の発表をするかの如く、自信満々に “大事件” の真相を語ったが。

 双子の反応と言えば、

「「へ~~」」

 と、心底どうでも良さそうなそれだった。

「「へ~~」って! やる気無いわネ、2人ともっ 特にヴィヴィっ あんた女でしょ!」

 (パット入りの)胸の前で両拳を握りしめ、何故か憤慨する同居人に、

「うん。一応、遺伝子的には」

 後ろで一括りにした金の頭を、縦に振ったヴィヴィ。

「王子よ! リアル王子っ 白馬の王子さまぁ~~っっ」

 華奢な両腕を掴み上げ、ガクガク振って力説してくるダリルに、

「は、はあ……」

 ぽかんとしたヴィヴィは、されるがまま。

 そんな妹を庇ってか、クリスが眠そうに尋ね返す。

「というか……。どうしてダリルは、そんなに興奮してるの……?」

 遥か昔から、同大学には世界各国の王侯貴族達が在籍し、今はいないが数年前にも居たらしい。

(モニャコ公国……? あの、タックス・ヘイブンで、億万長者ばかり住んでる、ちっこい国だよね?)

 正直、世界の王族・皇族に疎いヴィヴィは、モニャコ公国については知っていても、皇太子にはピンと来なかった。

「ん~~っ! だって、すんごいイケメンなんだって。もう、いいから、とにかく見に行こうヨ~~っ!」

 なるほど。

 “美形大好き” なダリルが興奮する理由は、そこにあったのか。

「あ~~、私はいいや~~」

 手にしていた(スケート用品の入った)スーツケースを朝比奈に手渡しながら、ヴィヴィは誘いをやんわりと断った。

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