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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 色々な物を少しずつ頂く――正に女子の好みのドストライクを付いて来る鮮やかなオードブルの数々に、

 薄っぺらな腹から「くぅ~~……」と情けない音が漏れ。

 咄嗟に両手で腹を庇い、きょろきょろと辺りを伺ったが、そこにはいつもからかってくる匠海の姿は無かった。

(……私がお風呂入ってる間に、こんなの用意してたの……? な、何たる “おかん男子”……)

 一度空腹を感じてしまえば、人間の三大欲求にあまりにも正直なヴィヴィは、我慢ならず。

 なかばやけっぱちな仕草でシャンパングラスを掴むと、クーラーから鷲掴みにしたシャンパンを並々と注いだ。

 黄金色のそれを一気に飲み干せば、ひり付くほど乾いていた咽喉の粘膜がカッと熱を帯び。

 しかしそれも一瞬のこと、冷たい炭酸の感触を再度味わいたくて、ヴィヴィは手酌で何度も何度もそれを煽った。

 ボトルの中身が残り1/3になった頃、ようやく手を止め。

 先程から目に焼き付いて離れない、旨そうなオードブルにも ついつい手を伸ばしてしまう。

 “匠海の言う通りに食べてしまう行為” は癪だけれども、

 自分には到底無理な事(料理)を易々と熟してしまう兄に、今更イラつく事は無い。

 何故なら、兄達の出来が良過ぎるのは、物心付いた頃から嫌というほど思い知らされてきたのだから。 

 酸味、甘味、塩味、旨味、辛味。

 それぞれ工夫されたオードブルを次々と放り込めば、口の中が「楽しい」と歓喜しているようで。

 ついついシャンパンも進んでしまい、気付けばフルボトルのそれを飲み干していた。

 まあ既出の通り、ヴィヴィのアルコール限界は、


 シャンパン or 赤白ワイン・フルボトル 

 1本 → 笑う・少し饒舌になる

 2本 → 髪を撫でたがる・甘える・キス魔になる

 3本 → 泣く・拗ねる・くだをまく・寝る


 ――なので、こんな量など屁でも無く。

 最低限の礼儀――と、空のボトルとグラスをキッチンに下げたヴィヴィ。

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