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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第15章     

『世紀の大告白』と謳われてもおかしくない筈のこの事件を、仕掛けたはずの本人達が面白おかしく笑い合っていて。

しかも、国の王位継承権第一位の皇太子への扱いがあまりにも雑な事に、ヴィヴィはようやく気付く。

「……な、なんなんだ? ここの国民は……」

自分が育った国では国民と皇族には一定の距離が存在している(とヴィヴィは感じている)が、目の前の皆にはそんなものは全く感じられない。

そして、もうひとつ。

ヴィヴィはやっと、一週間前に宣言された言葉を思い出した。


『まあ、いいさ。これからヴィーは、嫌でも俺のことを意識しなければならない状況に陥るからね。ふっはっはっ』


(……そういうことか。ていうか、更に悪いほうに警戒しだしたのは、確か……)

「まあまあ、坊ちゃん……じゃなくて嬢ちゃんか。せっかくだから、うちのショコラでも食べてけ。ほれほれ」

愛らしさの残る顔を盛大に引きつらせたヴィヴィ雄(もといヴィヴィ)の正体を見抜いていたオジサマに勧められショコラを口にしたが、味なんて解かる訳もない。

「ど、どうも……、美味しいです……」

(しかも、げ、劇団員とかじゃなくて、本当にここの住民だったのか……)

色々な情報が一気に入ってきて、独りこの状況に取り残されたヴィヴィに対し。

「きゃ――っ!? これ王冠(クロンヌ)よネ! 皇室御用達のショコラトリーの♡」

差し出された王冠型のショコラに目を輝かせる同居人と、「やっと面倒から解放された」と言わんばかりに市街地の地図を開き始めた双子の兄。

そして、いつの間にかそのテーブルに交じりコーヒーを注文しているフィリップ。

「………………」

(なんだかなあ……。薄々気づいていたけど、私の事からかって楽しんでるだけだよなあ、このゴキブリ王子……)

そんな事をして何が楽しいのかと、呆れた眼差しを向ければ、

「ヴィー、いつも可愛いけれど、モニャコにいる君は、更に内から発光でもしているように輝いて見える!!」

彼こそ昔の仏映画の銀幕にいても引けを取らぬ程の容姿のくせ、月とすっぽんくらい対極にあるヴィヴィを褒め称えられても、素直に受け入れられる訳がない。

二人が並ぶとどうしても、西洋絵画vs漫画 くらいかけ離れていると思ってしまうのだ。

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