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第6章 欲望

「そいつらを探し出せ！そして、桜子の監視を続けろ…」

「わかりました！」

スーツの男が深々と頭を下げたまま、部屋を出て行く。


男は立ち上がり、超高層ビルの大きな窓から階下に広がる景色を眺める。

遥か彼方に米粒ほどの人間が、せわしくうごめいていた。


男はふと思い出す。３年前まで、自分もあの場所でドブネズミの様な薄汚い生活をしていた事を…

だから…あの瞬間までは、ドブネズミで一生を終えるであろうと思っていた。


水野桜子に出会うまでは…


あの女のお蔭で、この地位まで成り上がることが出来た。

俺の悪運も相当なもんだ、あんなに簡単に人を信用するとは…