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あたかも普通の恋愛小説
第9章 鳥籠アイアンメイデン


真壁さんが忙しくてぜんぜん会えないこともあって、梨花子相手にさんざんのろけていっぱい話した。やっと念願の彼氏をゲットした私を褒め称えてくれるかと思いきや、梨花子は辛口だった。

将来性がないとか変人だとか変態だとか言いたい放題。ひどい。いくらお酒の席でも言っていいことと悪いことがある。


「いいですかぁ?私たちが何にも考えず日々働いてる間にも、日も当たらぬ場所で日夜研究を続けてくれてる方がいっぱいいるんですよ!社会に貢献するのに違いはないんですよ!ましてあちらはお給料もらってやってるわけじゃなくてですねえ!尊い!素晴らしい!」

「それはいいけど。恋人のアンタは将来養って貰えるかって問題があるでしょーが!」

「私がお仕事して養ってあげたっていいもん!」

「いいんかい!」


個室で飲んでたせいで、二人ともテンションが高かった。でも今回は祝杯だからいいの。


「でもデートもろくに出来ないんじゃ今までとたいして変わんないじゃん」

「そんなことない!」


「まぁ私は面白いからいいけど」


ひどいこともたくさん言うけど梨花子は何だかんだ私の話をちゃんと聞いてくれる。聞き流したり適当な相槌とかじゃなくがっつり聞いてくれる。根掘りはほり。

不安なことがあっても、わーっと話すとすっきりするよね。


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