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大地の恋
第1章 幼馴染みの弊害
「アンタが馬鹿な事しなきゃ今ごろここにいたのはうちの孫だったかもしれないのにねぇ…」



「………」


母親とは誰より子供の味方でありながら誰より容赦なく子供の心をえぐることがある。


……そんなの、何万回も俺だって思ったよ。
俺があの夜飲み会に行かなかったら…酔わなかったら…


真優が許してくれた時、俺も真優の過去なんかに捕らわれずに真優だけを見ていたら……


俺たちは今でも一緒に居られたんじゃないかなんて。



「二人目、女の子だって」


「へー…」


「アンタもそろそろいい人見つけて幸せになりなさいよ」


お袋は背中をバンと叩いて家の中に入って行った。


「いい人なんてそうそういねーんだよ」


叩かれた背中が痛いけど胸はもっとヒリヒリしていた。


真優と別れてからは色んな女と遊んでいた。
中には“これは”と思って付き合った女も居たけれど半年と続かなかった。


そんな生活にも嫌気が差してこの数年は全く女っ気のない日々を送っている。


情けないけど今でも俺のド真ん中には真優がいて、あのころのままの笑顔を俺に向けている。


真優が結婚したことも子供を産んだことも聞いて知ってはいたけれど…
実際、ああ見ちまうとクるもんがあるよな。


ここに戻ってくるということはまた真優が身近になるということ。
直接でなくともさっきみたいなことはこれからもあるのだろう。


そう思ったら帰郷早々気持ちが沈んだ。
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