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大地の恋
第3章 プリズム
先輩のセッティングした店はお洒落で雰囲気のいいダイニングバーだった。


この人がよくこんな店を知っていたとしみじみ感心してしまう。
それだけ力が入っているのか合コン馴れしているのか…




「板橋さーん」


個室に入った途端に昼間の女子社員…寺島さんが小さく手を振り俺を呼ぶ。


「ホラ、美奈子ちゃんはお前狙いなんだよ」


分かりやすいなーと先輩はつまらなそうに呟き、それから満面の笑みを彼女らに向けた。



女の子は三人、男連中も三人。
男女向い合わせで座り自己紹介を始める。



「営業一課の田島です♪」


「福本です」


「……板橋です」


「総務課の寺島です、美奈子って名前で呼んでください」


「近藤りえです。私も名前で呼んでほしいな」


「松田です。下の名前は美晴です」



「美奈子ちゃんにりえちゃんに美晴ちゃんか~」


田島さんの鼻の下が伸びた。


彼女たちは確かに美人でスタイルもいい。
ここで喜ぶのが普通だろう。


「板橋さん何飲みます?」


寺島さんが俺にメニューを見せ尋ねた。


「俺ビール」


「板橋、色気ねーな!」


隣の福本さんがダメ出しするように腕で俺を突いた。


「そんなことないですよー。気取ってなくて板橋さんのイメージそのまま」


寺島さんがクスクス笑うと胸が揺れる。
それを男連中はポーッと見ていた。



「あー、皆さん美奈子の胸に見とれてる」


名前を忘れた女子にからかうように指摘され我に返る俺たち。


「い、いやっ!こいつ胸のデカイ子が好きなんだよ。寺島さん仲良くしてやって!?」


田島さんが俺に責任を押し付けるように突然そんなことをカミングアウトした。


「えーっ、胸はコンプレックスなんだけど板橋さんの好みなら嬉しいな」


こんな時に上目使いで見上げる辺り男馴れしているのだろう。


曖昧に笑いこの場を誤魔化した。



酒が来て乾杯すると盛り上げ役の田島さんと福本さんが巧みな話術で女の子達を笑わせる。
ある程度酒も回った頃、席をシャッフルしようとお約束の流れになり、図られたように俺は一番端且つ寺島さんの隣に。

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