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大地の恋
第4章 再会
「ただいま」


「おかえりなさい」


家に着くと桃を抱いた真優が玄関まで迎えてくれた。


「図鑑あった?」


「ああ」


「良かったねゆづ」


悠月は母親に図鑑を見せると外ではあまり見せない顔で嬉しそうに笑った。



ーーーー今日、真優の幼馴染みの元彼氏に会った。
あいつに会ったのは、実は久しぶりというわけじゃなかった。
真優が桃を生んだばかりの頃、成り行きは分からないが悠月の面倒を見てもらったことがあったからだ。


……俺はその事を真優に言えずにいた。


出産したての真優にわざわざそんなこと言うことでもなかったし……と、少なくとも俺は思っていたのだけれど。


「………」


「何か…あった?」


「え?」


「変だから」


「……そう?別に何もないけど」


「ふーん…」



真優は変なとこばかりで勘がいい。
悠月は真優の実家に忘れてきたお気に入りの動物図鑑を抱えご機嫌で我先にリビングのドアを開ける。


その後を追う真優の背中を見ながらぼんやりとあの日、理穂と母親に言われたことを思い出していた。








あの日とは理穂と鞠華が来た日の事。
…真優は俺たちの事を「羨ましい」と言った。


俺はその時罪悪感を覚えた。
理由はうまく説明できない。
ただ真優のこぼした一言には「幼馴染み」という俺が踏み込めない聖域への哀愁が感じられて…



フローリングに図鑑を広げ目を輝かせる悠月とそれを優しく見つめる真優。
母親の顔の真優を見て、やっぱりアイツには会わせたくないと情けなくも思う。


だってアイツは多分まだ真優の事を……





「……パパ?」


「ん?」


「やっぱり変だよ?」




俺の視線に気づいたのか真優が怪訝な顔で俺を見ている。



「変……確かに変かもな」


「うん、変」


「………」




あの日、子供達を母屋に連れて行った俺は居てもたってもいられずに、適当な理由をつけてすぐに理穂を呼び出した。


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