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大地の恋
第4章 再会
ぎこちなく動き始めた世界はまだやっぱりぎこちなくて、今になって自分が思うより千花ちゃんは大切な子だったんだと思い知る。



「学習しねーな…俺」


俺の方が大人だからとか千花ちゃんの為とか…
後悔はもうしたくないなんて言いながら結局また後悔している。


気付き始めたこの気持ちは久しぶりすぎるあの気持ちなのだろうか。
それすら分からないくらい俺の心は麻痺していた。


ただ日常の隙間で考えることはいつの間にか千花ちゃんの事で……


気持ちが動き始めたことを俺自身感じ始めたというのに……世の中は本当にうまくいかない。





暑い夏が終わりやっと秋の気配を感じるようになった頃。
……未だに俺は千花ちゃんに避けられ続けていた。



林のようにアクションを起こす勇気もなく、千花ちゃんを忘れることもできていない。
情けないほどヘタレな俺は相変わらず暇な休日を家でボーッと過ごしていた。


「大地、卵買ってきて」


「太陽に頼めよ」


「遊びに行っていないわよ!おつりはあげるから」


「………」



母親に躊躇なくおつかいを頼まれるほど最近、休日の俺は引きこもっている。


仕方なくスウェットのパンツを脱ぎ、下だけ履き替えると近所のスーパーへ向かう。
そして残り少ない特売の卵を買ってプラプラと散歩がてら近所を歩いた。



真優の家には今日も車が停まっている。
……女って子供産むとどうしてこうも頻繁に実家に帰ってくるんだろうな。


でも幸か不幸か真優に会うことはなかった。
それはきっと真優に縁がないということそのもので。
元気にしてるんだろうか…そんな事を考えながら真優の家を通り過ぎる時、門が開き中から人が出てきた。



「あ、」


「………どうも」



副担任……
真優に縁はなくてもコイツに縁はあるらしい。
いつもセットでいる悠月は今日はいないのか副担任は一人だった。


挨拶はしてみたものの話すことなんかないからそのまま通り過ぎようとすると……



「大地……君」


「………」



名前を呼ばれ思わず立ち止まる。
コイツ、俺の名前知ってんだな…
俺は副担任の名前なんて知らないけど。



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