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斉藤太一です
第10章 斉藤太一さんですか?
”ドンドンドンドン!!”




その時

店のドアを
叩く音が聞こえた




・・・しずく?



しずくちゃんが

おばぁちゃんと
会えなくて
戻って来たのかもしれない




僕は

すごく心配になって



駅はすぐ近くだからって
あんな小さな子供を
ひとりで
帰らせてしまったことを

一瞬にして
すごく後悔して



急いで

店のドアを隠す
カーテンを引いた





「斉藤さ~ん

急ぎの
取りにきたんだけど~~」





「あっ

す、すみません!!
すぐに
開けますから!!」






ドアを叩いたのは


しずくではなくて


急ぎの
クリーニングを
取りにきた

近所のお客さんだった






しずくじゃなくて




僕は
安心したけど




しずくじゃなくて







がっかりしていた









それでも

仕事はこなさなきゃ
いけなくて





僕は



奥の部屋に
置き去りにした手紙を
気にしながら





接客を続けた





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