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斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君


メールを送信すると

僕は
眼鏡を外し
携帯を握ったまま
ベットにうつ伏せた



返信が来るまで
他のことなんて
できないよ・・。




返信が来たら

ちゃんと
木曜に
会いたいって

メールしよう




そう思いながら
目を閉じて



かすみの
甘い香りを
思い出した



先週
ココに来た時には
そんな香り
していなかった



と、思う




右手の中の
携帯は
なかなか震えず



僕は
左手で
布団をぎゅっと
握りしめた




その布団を
手繰り寄せ


胸の中に
引き寄せる




引き寄せた布団に
目を閉じたまま
頬をよせ





あの
甘い香りを
嗅ぐように

息を吸った




甘い香りを
吸いこむように


かすみの
首に

優しくキスをしたい





布団を
さらに抱きしめ


もう一度

息を吸い込む







でも



香らない布団と

震えない携帯に




現実に

連れ戻されてしまった











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