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斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
ち、ちがうよ
起きてるよ

全然
眠くもないし


眠る気も
・・なかったんだ




それでも僕は

メールの文面が
なかなか決められず



結局
かすみの携帯に
電話をかけてしまった





「斉藤さん

起きてたんだ」






「うん

ごめんね電話して


今、大丈夫?」






「うん、でも

ちょっと
待ってもらってもいい?」






「うん、いいよ

ごめんね」





かすみは
どこかに
場所を移動したようだった


不意に
かかってきたからか


かすみの
口調は
いつものように
軽快で



心地いい




しずくを
起こさないように
話せる場所に
移動したのかな・・・



そんなことを
考えながら
僕は
携帯の向こうに聞こえる
生活音に耳をすませた





「もう平気、お待たせしました」





「しずくちゃん

もう寝たの?」






「うん。添い寝してたら

私もうっかり寝ちゃって・・

それでメール
遅くなってごめんね

斉藤さん
もう寝ちゃったかと思った」





いや

起きてたよ



・・・うん。





かすみに

何か
言われた訳でもないのに



僕は

何かを誤魔化すように



眼鏡をかけて

姿勢を正していた


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