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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯


「そうは言うが、邸の外にも出てないんだろ? それにだ。もう行き先も決めてあって、滞在先にも連れを連れてくと伝えてある」


「え? でも行けないわ、私。それに今大変なときでしょ?」


 暗にレオが私財を擲ち、暴動に巻き込まれた人々を救済したのだと示唆する。


「あいつらから聞いたのか。あのな、アリエッタ一人をどこかに連れて行けないほど困ってないぞ? 私財は手続きが済み次第、国から補償もされる。変な心配はするな」


「でも……」


「でも、じゃない。それに行き先を聞いたらアリエッタも絶対に行きたくなるはずだ」


 自信を見せ、レオは口角を上げる。


「どこに行くつもりなの?」


「滞在先はルードリアン男爵のところだ」


「ルードリアン男爵って……」


 アリエッタが驚きを見せていると、レオはにこりと微笑んだ。


「明日、出立するからな」


 頤〈オトガイ〉を上げ微笑むレオをアリエッタは見詰め続けた。


 思いもよらぬ行き先に、ただただ驚くばかりであった。






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