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第20章 アリエッタの愛

　ザキファス公爵夫人からの手紙には、アリエッタと公爵が口論し、邸から居なくなった旨しか書かれていなかった。


　そしてレオに助けて欲しいと。


　アッシュブラン邸に戻っていればと願っていたが、その願いは届いてはいなかった。




　レオは集まった使用人たちを見渡す。


「アリエッタと最後に会話した者は誰だ？」


「わ、私です」


　ナキラが不安げな顔で進み出る。


「アリエッタはなにか言ってなかったか？」


　この質問をしたのは、アリエッタが自らの意志で帰って来ないのか、若しくは自力で帰れない状況に陥っているのかを知るため。


　どちらの可能性も考えたくはないが、あらゆる状況を考慮に入れ、探す手立てを考えなくてはならない。


「いえ……特には……。あ……でも」


「なんだ？　なんでもいい。思い出すことがあれば言え」


「それが……絵のことをおっしゃってました。レオ様に最初に見せたいから、布は取らないでって」


「絵……？」






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