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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛



 アリエッタはレオに抱かれながら、なにを考えていた?


 ──笑っていた。けどその陰で……泣いていた?


 一度たりとも拒まなかった。


 ──仕事だから、義務だからと?


 眠っているとき、いつの間にか腕から抜け出していた。寝相ではなかったとしたら……。


 ──いつか来る別れを覚悟し、温もりに慣れてしまうのに怯えていた?


 彼女は酔うと慇懃な言葉遣いになった。


 ──酔えば本性が出るものだ。俺との間に一線を引いていた?


 リンゼイを招いた夜、アリエッタは中座した。


 ──俺たちを見ているのが辛かった?


 カンターヌへ向かう前の最後の夜。あの日彼女は自分から求めてきた。


 ──最後だとわかっていたからか?


 見送るときも笑顔で。だけど迎えに行くと言ったとき頷かなかった。


 ──もう自分は居ないと知っていたから?









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