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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛



 ぞろぞろと議会場から出ていく貴族たちの背中に、白髪混じりの淡いキャラメル色の髪をきっちり撫で付けている人物を見付ける。


 レオは颯爽と距離を詰めた。


「──ザキファス公爵」


 気軽さを滲ませて声をかけると彼は他の者と話すのを止め、足を止めて振り返る。


「これはこれは王太子殿下! 直接お声をかけていただけるとは、光栄です」


 公爵はアリエッタのことなどまるでなかったかのよう、大袈裟に喜びを表現する。


 だがその眼は油断ならずレオを映している。


「少々お話したいことがあります。お時間いただけますか」


「えぇ、もちろんですとも。しかしですな。今日は彼と呑みに行く約束をしてしまっておりまして。またの機会にでも……」


「お時間は取らせません。すぐに終わりますから」


 警戒を一蹴し、レオは有無を言わさなかった。


 公爵もそれ以上逃げ口上を並べず、レオの先導で別室に二人で入った。






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