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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 アリエッタはようやく知る。レオの抱えていたものの重さを。


 鮮烈な色彩に混じる仄暗い死の色。カーラとシンシアという大切な人の死からの痛みだけでなく、たとえ偶然だったとしても己の言葉が招いたとレオは自身を責めてしまっていたのか。


 ──ああ、だからなのね……。


 眩いまでの生命力を感じさせつつ、纏わりつく死の匂いはそこから来ていたのか。


「俺の馬鹿げた妄執で彼女を傷付けていたと気付いたときには、彼女は俺の前からいなくなっていた」


 辛そうに見詰めてくるレオをアリエッタも瞳を揺らして見詰めかえす。


 リンゼイが……いなくなった?


 一緒にカンターヌへ行ったのではなかったのか? 途中でいなくなったのだろうか。だとしたらレオはリンゼイを探しもせず、どうしてアリエッタの前にいるのだろうか。


 何かがおかしい。齟齬〈ソゴ〉がある気がしてならないと、心の中で首を傾げていれば。


「まだわからないのか? 俺がずっと想い続けてきたのはアリエッタ──キミだ」







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