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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ



「悪いと思ってるから、こうして手出しせずに我慢してるだろ」


 朝方邸を発ち、すでに真上に昇る太陽がそれだけの時間を体現しているのだが、今日は抱き締めるだけに留まっていた。


 けれど膝から降りるのは赦してもらえず、素直に収まるしかない。


「そういうのを我慢とは言わないわ」


「なら我慢の必要はないってことか」


「どうしてそうなるのよ、もう……」


 文句を言うと、レオはくつくつと喉を鳴らして肩を揺らす。


「冗談だ」


 この男の冗談は往々にして冗談にならないから危険だ。


 どんなに文句を言おうが張り合おうが、レオは愉しそうで。むくれているのが馬鹿らしくなってしまう。


「まぁ、今日は歩けなくなっても困るからな」


「いつも困るわ」


 レオの言い回しに、特に不思議に思うでもなく返したアリエッタ。


 しかしメフィスに到着してから、アリエッタはひどく驚くことになった。






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