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Re:again
第2章 【リップサービス】
信号待ち。
暗闇の中で点滅する信号の明かり。

爽介が私の額に擦り寄る。コツン。お互いの額から伝わる温度‥

「みちる、俺のこと好き―??」

その瞬間、運転手さんにドアを開けるよう懇願した。
混乱する運転手さん。
爽介を指差し、

『コイツ、強姦魔なんです!!!』

と、絶叫する。
爽介が焦って私の口を塞ごうとする。
運転手さんが爽介をなだめる。

「うるせー!!黙ってろ!!」

怒鳴りつける爽介。
ひるむ運転手さん。
私の口を力任せに塞ぐ爽介。
苦しい!このままではヤられてしまう‥。
爽介の指に噛みつく!

「てめぇ~~」

爽介にみなぎる殺気。
諦めの悪い爽介の腕を振り払い、バッグを握り締める。
ドアが開く。

『好きなわけね~だろ!!タコ!!バ~カ!バ~カ!!!』

蹴りを食らわせる。
うっ‥と低い呻き声が聞こえた。
爽介に小さな打撃を与えられたことに満足する。
タクシーは走り出し、後部座席の窓硝子から鬼の形相を浮かべた爽介が私を睨み付けていた。
爽介に中指を突き立てる。

『地獄に堕ちろ!!!』

片方の靴はタクシーに取り残されたまま‥。
ひょこひょこと私はボロアパートへの帰路を目指す。
安心安全な“つまらない日常”に戻るために。

どんなに心乱されたとしても全てはあのスケコマシのリップサービス。
青春時代に提出し忘れた課題の再提出を求められただけなのだ。
たまたま、今夜遭遇して。
たまたま、爽介が退屈していたから。
その言動に何の意味もない。
二度と、会うこともない。

唇を何度も何度も拭った。
考えたくないのに、自分がカワイソウになってきて涙が零れた。
早く、熱いシャワーを浴びたい。
爽介の唇からこぼれた唾液、私の身体にまとわりついた唾液を洗い流してすっきりしたい。

安心安全な“つまらない日常”に戻るために―

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