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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
 上条弁護士は毎日訪ねてくれた。

 その中であの日向かいのビルから見ていた人がいて
 俺がまったく関与していないことが証言されたと言われた。

 「でも...彼女を死に追いやったのは
  俺です。
  有罪にしてください」

 と頼んだ。

 「それはあの裁判のやり直しを請求することになるが
  構わないのか?
  君の弁護士人生は終わるぞ」

 そう言われた。

 「構いません。
  むしろそうしてください」

 俺は少女が命を懸けて問いかけた

 "正義"を考えていた。

 人の命でやっと気付かされた

 自分の愚かさを悔やんだ。

 「しかしな...
  相手が悪いぞ。
  それを敵にまわす気があるか?」

 「先生、"正義"ってなんですか?」

 俺は上条弁護士に問いかけた。

 上条弁護士は笑う。

 「砂上の城だな。
  理想の空論とも言うべきか。

  しかし、それを亡くしたら
  我々の存在など不要だ」

 上条弁護士の目には強い光が込められていた。

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