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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「言ったら何か変わった?」

瑠璃は窓の外を見つめた。

「言ったら、産めたの?」

「そうじゃなくて...」

「主任の言ったとおり。

 私が悪いの。無責任な自分が招いたこと。

 悪いのは私...

 だからもう放っておいてください」

瑠璃は窓の外を見つめたまま呟いていた。

「お前だけが悪い訳じゃないだろ。
 課長にだって責任もあるし選ぶ権利もあるはずだ」

瑠璃は男に顔を向けた。

「選ぶ?
 何を選ぶの?
 諦めてくれって言われるに決まってる。
 そんなの受け止める勇気ないの。
 もうこれ以上耐えられない。
 自分のしたことを受け止めるだけで精一杯。
 そばで綺麗事を聞かされるなんて...
 耐えられないわ」

「でも...」

「私は最低の女。
 それでいいの。
 もう課長に連絡しない。
 不倫なんてした自分が間違ってたの」

瑠璃はそう言うと席をたった。

「主任、ありがとう。
 いまの私はあなたの言葉さえ受け入れられない。
 ごめんなさい」

瑠璃は男に頭を下げて背を向けた。

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