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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
飯田が帰った後にスーツ姿の男が入ってきた。

「洋輔さん首尾よくいきました」

「お!ありがとよ」

洋輔は男に椅子を勧めた。

「ビールでいいか?」

冷蔵庫を覗き込んだ洋輔が男に向かって聞いた。

「飲みたいところですが、あのわがまま娘にいつ呼び出されるかわからないので」

「そうか、悪いな」

といって自分はプシュッと缶ビールの栓を開けた。

「さてさて、あの女、今度は何をするつもりかね」

そういった洋輔の前に助手がイヤホンを差し出した。

「お、気が利くね」

そういって耳にイヤホンをかけた。

「なんだかガサガサうるせーな」

洋輔が眉間に皺を寄せた。

「背中に付けてしまったので雑音がすごいかもしれません」

男は申し訳なさそうに言う。

「気付かれねーように付けるんだ、場所なんて選んでられねえ。

 気にすんな。

 会話はちゃんと聞こえてる」

洋輔はイヤホンの音に集中した。

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