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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
美樹は当主の呼び出しを受けていた。

奥の座敷へ案内される。

途中の部屋には腕や足を切られた女たち
耳を削がれた女などこの世のものとは思えない
阿鼻叫喚の世界を目の当たりにさせられる。

ー何度来ても薄気味悪い家だわ

美樹は吐き気を悟られないように必死に堪えていた。

美樹は自分は望まれて当主の愛人となっていると思っているが、当主にとって美樹はただの人質でしかなかった。

美樹の父はこの家の会計士の一人だ。

この家の会計士になったときに美樹を当主に差し出すように命じられた。

裏切ればいつでもこの女たちのようにされてしまう。

ここにいる哀れな女たちは裏切りの代償だった。

美樹はそれを知らない。

当主にとって美樹は人質でしかなく
愛情の対象などではない。
ただ時おり気まぐれに抱く
その行為ですら当主にとっては義務でしかない。

当主が過去に自ら求めた女はたった一人。

他の男が見向きもしなかった駆け出しのアイドル。

それも遠い昔の話。

今求めているのは一度だけ抱いた女。

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