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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「次こそは……俺もお前のナカで果てるぞ。お前と体だけじゃなく、心を繋げて……狂ったようにセックスする。ふたり同時に心身を満たす……それが、恋人のセックスというもんだろ?」


 恋人設定は次回に持ち越されるらしい。


 ……照れくさいけれど、嬉しい自分がいる。

 ハル兄とまたこうして抱き合える口実が出来たのが。


 また、恋人として甘えてもいいんだ。

 また甘えて貰えるんだ。


 また、あたしのナカの奥に……凄いのを貰えるんだ。

 また、たくさんキスが出来るんだ。


 その嬉しさは、愛おしさに近いものだった。


 体とともに心もぞくぞくと昂奮する。



「うん、楽しみにしてるね。次の全快記念」


 そう微笑むと、ハル兄はやるせなさそうに目を細め、端正な顔を傾けてあたしの唇にキスをしてきた。


 もう、キスをすることに抵抗はなくなったのだろうか。

 それともまだ、今宵の宴は続いているのだろうか。


 キスをする瞬間に見えた、ハル兄の艶めいた顔にくらくらする。


 ただ唇を重ねるだけのキスをして、ハル兄は唇を離してあたしを見た。



「シズ。今度は……体だけではなく、心をも奪われる覚悟をしとけ。……期間など限定なく、永遠だ」



 不遜というよりは真剣すぎる面差しで。



「俺は覚悟を決めた。お前の体だけではなく、心も貪る。だから……今から少しずつ腹をくくっておけ。俺の攻めは……容赦ねぇぞ?」


 寒気を感じて身震いをしたあたしに、ハル兄は額に唇を落とした。

 その唇は少し震えているように思えた。


 まるで、困難ななにかを覚悟しているかのような。


 そんな一抹の不安を感じたあたしに、ハル兄は柔らかく笑った。

 ……その奥にある、あたしに伝染した不穏な色を隠して。


「だから今は……こうして抱き合って眠ろう。お前の温もりに包まれて、お前に抱かれて……寝させてくれ。……まだ、目覚める時じゃねぇ」


 ハル兄があたしの瞼に手を置くと、途端に眠気が襲ってくる。



「今日はありがとな。

おやすみ……静流。

……せめて今は……俺の腕の中でいい夢を」



 優しく甘い声が、宴の終焉を告げた――。




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