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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「嫌というか……適性があるでしょう。ハル兄のキャラとナツのキャラは違うでしょう? ハル兄は大勢の目があるところで、あたしと手を繋ぎながら、頭から可愛いお花をぽっぽぽっぽと咲かして、ずっと顔を可愛く緩めてにこにこしていられる? ファンシーな王子様姿を披露出来る?」


 するとハル兄は、数回にぎにぎと手に力を込めて名残惜しそうな素振りを見せると、手を離した。


 珍しい。帝王があたしの意見を聞き入れるなど。

 そこまで彼のキャラは、ナツとは違うのだと認識したのだろうか。


 そう思ったあたしの耳もとに、帝王が囁く。


「だったら、俺らしくエスコートしてやるよ」


 ぞくっ。


 なぜにここでそんな艶っぽい声!?


 そしてハル兄はあたしの腰に手を回し、反対の手であたしの顎を掴むと、


「!?」


 ディープなキスをやらかした。


 勿論、周囲からはブーイングの嵐。

 そこまであたしは、悪感情を向けられていたのか。


「なに周りばっか気にしてるんだよ。意識するのは俺だけのことにしろよ」


 甘い声はまるで誘惑のよう。


「こんな時なのに、堂々とお前をホテルに連れられたこと、俺ばかり浮き足だって……馬鹿みたいじゃねぇかよ」



 "俺ばかり"


 ハル兄は……あたしを連れたことが嬉しいの?



「雑音が気になるのなら、周りに見せつければいい。お前は……俺の"特別な女"だって」


 斜めから落とされる切れ長の目が挑発的な光を湛えると、ハル兄から、ぶわりと艶気が拡がった。


「……初めて俺の手でいやらしい潮吹きました。そこまで俺に奉仕され愛され、感じまくりましたって……自慢してみろよ、シズ」


 腰にあった手が下腹部あたりをまさぐり、卑猥な動きを見せた。


「もう心も体も…俺に夢中です、って……なぁ」


 ねだるような声が耳に囁かれた。

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