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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

 ニャン吉の言葉に、夕子さんの険しい目が向けられた気がする。

 にやけ顔のニャン吉。ぎらつき顔のハル兄。


 なんで36歳が引き合いに出されるのかわからないけれど、ここは穏便に。夕子さんはヤキモチ妬きのようだから、変な誤解をされないように。


「あの……あたしは、もっと若い方が……」

「!!!!」


 目の前で、大仰なほど息を飲んだハル兄がソファに沈んだ。


「おい、佐伯? 佐伯くん? やべ、ED悪化しちまう!! シズルちゃん、"36歳大好き、ストライクゾーン"って言ってみ」

「なんでシズルちゃんがそんなこと言わないといけないのよ!!」

「夕子は黙って。じゃないと、佐伯立ち直れない。佐伯、お~い」


 なんだかわからないが、ハル兄が大変らしい。


「"36歳大好き、ストライクゾーン"」


 呪文のように唱えると、むくむくとハル兄が起き上がる。

 若干涙目だが、じとりとあたしを見る。


「本当に?」

「本当本当」

「棒読みに聞こえた」

「気のせい気のせい」


 あたしの代わりにニャン吉が答えてくれた。


「ん」


 なにがいいのかわからないが、帝王様は少し立ち直られたようだ。

 あたしには意味がわからないが、ニャン吉はわかっているらしい。

 EDがなんとかって言ってた気がするけれど、ニャン吉も知っているようなのは、精神科医とか言ってたから、ハル兄が相談していたのか。

 なんだかにやにや顔であたしとハル兄をみているのが、気に入らないけれど。言いたいことがあるのなら、言えばいいのに。
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