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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「オラァ!! よがらず見とけよ。白い泡たてて、汁散らせて、よがりまくる姿を。どうだ!?」


 だが快感の奔流に流されているハル兄は、あたしの声が届かない。

 あたしの片足を上げて斜めに覆い被さると、後ろからずんずんと突きまくる。


「どうだよ、どうだ!?」

「ああああん、いい、いいぃぃぃぃっ!!」


 鏡に映るあたし。

 気持ちよさそうだとか、幸せそうだとか、そんな羨望めいた客観的な感想はもう出て来なくなってしまった。


 すごく遠い存在に思える。


 涙がほろりと零れた。



「ああ、そこそこ、そこがいいの、もっと――っ!!」

「うるせぇんだよ、俺主導だって言ったろうが。――くっ!!」

「出したの、あたしまだイッてないのに!?」

「黙れって言ってるだろ。お前に口出しなんかさせねぇよ。ほら、欲しかったんだろ、俺のを味わえよ」

「もう勃てるの!? まだ、まだ味わってないのに」

「いちいちうるせぇんだよ。静流の体なんだから当然だろうが。何度でも復活して、何度でもぶちまけてやる。それを望んだのはお前だ。俺のペースについてこれるなら、ついてこいよ?」


 ……ハル兄、大丈夫なの?

 彼はそこまですぐ精を放って、ペースを飛ばすひとではない。

 狂ったようにがむしゃらにあたしを抱くのは、夕子さんのクッキーのせい? それとも淫魔のせい?


 淫魔のせいだとしたら、ハル兄が食われてしまう。

 我を忘れたような今のハル兄なら。

 精液を放って続行するほどに色欲に翻弄された今のハル兄なら。

 簡単に捕らえられてしまうじゃないか。


 ハル兄、やめて。

 "あたし"を抱かないで!!


 ハル兄、ハル兄っ!!


 だけど届かない。

 こんなに近くにいるのに、あたしの声が届かない。


 ハル兄は苦悶の顔をしながら、舌舐めずりをして何度も荒々しく"あたし"を貫き続ける。


「オラ、味わえよ、なにとろとろしてんだよ。欲しかったんだろ!? たっぷりやってたっぷりよがらせてるんだから、もっとかかってこいよ!!」


 "あたし"は、目は虚ろで口から涎を垂れ流して派手に絶叫している。

 見るに耐えない、人間ではなくなっている"あたし"。


 ああ、ああいう風に崩れた先にあるが淫魔なんだろうか。


 醜い……。

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