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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「……サクラ、僕がいない間、しーちゃん頼むよ? 波瑠兄がいってたあのデザイナー、僕は見ていないけれど、波瑠兄が警戒を持つなら相当だと思う」

「勿論。お前の代わりに守るから。お前は、今できるかぎりのことをガンバレ。お前が克服できるのを楽しみにしているのは、俺だけじゃない。あのひとだって、いつもお前のことばかりだ。

俺とあのひとは、喧嘩友達のようなものだ。……お前の方が、よほど男として意識されている。そこは自信持て」


「ありがとう」

「礼をいうのはこっちだ。ありがとう、ナツ」



「ふふ……なんだろ、なんか泣けてくる。……ぐすっ、サクラ、これからも末永く……親友よろしくお願いします」

「……くそっ、俺まで貰い泣きだ。こちらこそ、末永く仲良く頼む」


「ふふふ……」

「くく……あははははは」


「あ、あの音……時間を知らせてるんじゃ!?」

「やばっ。よし、行くぞ…ほら、その涎垂らした変なおばさん。……ナツ、お前は?」


「少し見学してから、戻る。そのデザイナー、見てみないと」



「じゃあ最後まで見てろ。絶対お前(の人形)を他には渡さない」

「見てるよ。その言葉、信じてる。僕達、ちゅーした仲だし」

「――っ!!!」


 いまだピカピカな頭の中。

 ナツの囁きにモモちゃんが顔を真っ赤にさせたのを見たあたしは、思わず叫んだ。


「ひゃっはー☆ 攻はナツ、受はモモちゃん決定っ!! 新しい世界のご提供、どうもありがとうございます~っ!! R・I・A・L・び~えるっ、おめでとうっ」


 ふなっしー踊りで、"vacation"の曲調での祝辞を乗せてみた。



「しーちゃん、新しい世界は僕と下のお口で繋がった時に拓かれるの!!」

「あんたはどこから聞いて妄想炸裂してんだよ。それにな、言っておくが!! リアルを言いたいなら、"REAL"だ!!」


 ……おや、どこからが妄想でどこからが現実?


 あたしの頭がピカピカしていた間に、親友クン達はただのとても仲良しさんに戻っただけみたいで、違う展開は迎えていなかったらしい。
 
 なにやら総スカン食らったあたしの方が、疎外感を感じた。


 ……ぐすん。

 仲間に入れてよ、しーちゃん寂しい。
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