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可愛いヒモの育て方。
第6章 いざ、温泉旅行へ!

 私は麻人を、横目で睨む。別に、いつもこんな妄想話を語ってるわけじゃない。というか初めてだ。即興で作ったり、麻人の名前をわざわざ出したのは、単なる嫌がらせだった。
 麻人は運転中。私をちらちらと見ながら、気まずげに視線を前方へと戻した。

「……やっぱり、昨日のこと怒ってるんですか?」
「別に。麻人がまた私の小説読んでたからって怒ってないですよー全然! そんなに読みたいならどーぞ! いっそ私の妄想を直接流し込んでやろうと思って語ってあげたのに」
「……ごめんなさい。もう読みません。だからやめてください」

 麻人は素直に謝った。その謝り方は棒読みだし、あまり誠意は伝わってこないけど、私のアパートを出発してから今までずっと、麻人の隣で妄想を垂れ流してきた。しかも結構悪趣味な。そろそろ、許してやろうかと思う。
 だって今日は晴天だし。何より待ちに待った、温泉旅行の日だ。

「私喉渇いた。次のパーキングでちょっと休憩しようよ」

 麻人は昨日私の家に泊まった。今朝出発してからずっと、運転してくれている。高速を、そろそろ一時間くらい走っていた。
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