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可愛いヒモの育て方。
第7章 露天風呂へ
「ちょっと旅館の中散歩してくる」
「散歩!?」
「てか散策。行く?」
「……いいっす。散策って、ほんと子供じゃないんだから」
「そのセリフ聞き飽きた。なんかあったら携帯に連絡してねー」
「はーい。知らないイケメンお兄さんとかについてっちゃダメですよ。あと探しに行くの面倒なんで、迷わないでくださいね。行ってらっしゃい」
「大丈夫だってば! じゃ!」
軽く右手を振られ、私も手を振り返す。
スリッパを履き、部屋の外へと繰り出した。
旅館の中は適温に保たれていて、薄い浴衣一枚でも寒くなかった。私はふらりと、あてもなく通路を歩く。
麻人は子供みたいと言って馬鹿にするけど、知らない場所をいろいろと見てまわるのは、なんだかんだで楽しいと思う。昔から、初めて行く場所はよく歩いて散歩したものだった。こういう建物だけじゃなくて、例えば街や公園なんかも。
部屋の場所だけは忘れないようにしなくては。そこだけ注意しながら気の向くままに歩いていたら、見覚えのある三人の女の子が見えた。おしゃべりしながらこちらに歩いてくる。