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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
「……よくないよ。携帯勝手に見たのに」
「元カノも見てたし」
「……私あんたの彼女じゃないし。知られたくなかったんでしょ?」
麻人は私の肩に頭を預けたまま、目を閉じた。睫毛の長さについ見とれてしまう。シャワーを浴びたばかりでまだ髪は濡れていて、私のティーシャツも、じんわりと湿った。
「誰かに言ったりします?」
「しないけど」
「なら、いいや」
潔いまでの諦めの良さは、なんだか投げやりにも思えて、腹が立った。私が。
もどかしいような、やるせないような、よくわからない感情が、胸の内を支配する。
「よくない」
麻人の頭に片手をやり、きつく抱きしめた。
「なんでそんな、冷静なの」
自分の母親がそんな状態で、自殺までしようとしたら。きっとこんなに冷静に、誰かに話したりできない。勝手に他人に詮索されて、ここまで穏やかでもいられない。
「もっと私に怒っていいよ。私の前なら泣いてもいいよ。話せる人がいないなら、私に話せばいいよ。愚痴でもなんでも聞くから」
麻人の頭が、ぴくりと動いた。
「いつでも家においで」