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可愛いヒモの育て方。
第11章 依存
「んー……」
眠くなってきたのか、間延びした返事のあとに一言。
「友梨香さんやって」
「……子供か」
私は思わず吹き出した。こんなふうに甘えてくるなんて珍しい。
麻人の後ろにまわり、ドライヤーの風を当てた。
自分の気持ちを伝えてみたいような気もしたけれど、今はまだその時ではない気がした。麻人は母親の件で手いっぱいだろうし、相変わらず恋愛は面倒くさいというし。私の家に来るのも、私に恋愛感情を持っているからではなかったことがわかったし。まあ、予想はできてたけど。
「だいたい乾いた。千円ね」
「ぼったくりです」
二人して、顔を見合わせて笑った。
ドライヤーをしまい、私はベッドを降りた。
「シャワー浴びてくるね。寝てていーよ」
そう言い残して部屋を出ようとした時。
「友梨香さん……」
呼び止められ、振り向いた。
「あの……ありがとうございます」
普段は見せたことのないような、照れくさそうな顔。
らしくない顔に、つい笑みがこぼれた。
「大丈夫。おやすみ」
部屋を出て、ドアを閉める。夜も更け、静まり返った廊下を脱衣所に向かった。