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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客

 部屋に招き入れるなり、彩乃は散乱している衣服や食器や本なんかに、驚いていた。
 私は大げさな手振りとマダム口調で、責任転嫁する。

「ああ、例の麻人くんね。最近来てないの?」
「一週間くらい来てないかな」
「……一週間でこんなに散らかる?」

 彩乃のため息。片付けなきゃそれなりに散らかるっつの。こんな唐突な訪問じゃなく、せめて前日に連絡をくれていたら、多少は片付けたのに。

「その辺に荷物置いて、ちょっと待ってて」

 言うやいなや、私はテーブルの上と、その周辺のみ素早く片付けた。とりあえず座れるスペースを確保せねば。
 換気の意味で窓を開け、部屋に消臭スプレーをまいて、どうぞと彩乃を促す。

「あら、どうも」

 彩乃は苦笑した。

「何か飲む? お茶かコーヒーしかないけど」

 出勤用のブラウスとスカートをハンガーにかけ、部屋着のスウェットに着替えながら、聞く。

「いいわ、お酒買ってきたから」

 やっぱり。コンビニ袋から見える缶は酒だったようだ。

「私明日も昼から仕事なんすけど……」
「度数の弱いチューハイにしたし、万が一のため、二日酔いによく効く薬も持ってきたから安心して」
「用意いいなっ!」

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