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可愛いヒモの育て方。
第2章 ポスティング、参戦!
「いや、なんでもないよ」
ハンドルを握る麻人の横顔を眺めていて思った。
麻人もきっと、あの人と同じタイプの人間だ。今は私に懐いていても、気まぐれにどこかに行ってしまう。飽き性な、猫みたいな子。麻人を知っても、なんの意味もないんだろう。
「もし金持ちで、美人で、麻人のことが好きな、例えば女社長とか、そういう人が現れたら、就活やめてホントにヒモになる?」
「…………は? いきなりなんすか? まあ、貰える金額によってガチで考えるけど」
「どんだけ金欲しいんだ。でもそしたらさ、その人んとこにずっといなきゃいけないんだよ」
麻人は考える素振りをみせた。
「飽きちゃうかもしれないっすねー」
「だよね」
私は笑った。
麻人が就職しようとヒモになろうと、どっちでもいいけれど、私はまだ彼にしてみたいことがいっぱいある。私のそばを離れられては困るのだ。
「今度首輪とリード買ってあげるね」
「また変なものを……いりません。さっきから意味わかんないんすけど」
「いろいろあるんだよ」
私はむりやり話を打ち切り、大きく伸びをした。
あいつの言葉なんて思い出して、感傷に浸るのはやめにしよう。ガラでもないし。
くだらない話をしつつ、私たちの車は目的のお店へと向かっていった。