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可愛いヒモの育て方。
第18章 告白

「だけど考えてみたらさ、もう八年も経ってるんだよ。人間なんだから、キャラや価値観だって変わるし、私の思い出の中のマサルだって、記憶の中でどんどん脚色されていくよね? ズレが生じるのは仕方ないことだよ。それくらい、私だってわかってる。だけどさ……っ」
そこではっとした。いつの間にか、私の声のボリュームはだいぶあがっていた。落ち着けようと、軽く息を吸って吐き出す。
私は目前の麻人から、無意識に顔を背けていた。
「あいつの言葉を、八年も忘れられなかったのに……っ」
込み上げてくるのは、悔しさだった。
額に麻人の指先が触れる。顔にかかった私の髪を軽くすいてくれた。
「なんて言われたの?」
先を促す麻人の口調は決して強引なものではなく、それが心地よかった。私の話をちゃんと聞いてくれる。否定も肯定もせずに、寄り添うように聞いてくれる。
「知る必要はないって言われたの。どうせ別れれば他人に戻るんだから、自分のことをそんなに必死にしろうとしなくていいって。もっと汚い言葉で言われた。だけどそんなの、付き合ってる意味ある?」

