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可愛いヒモの育て方。
第19章 キズ
そろそろバイトが終わる頃かな。携帯に麻人からの連絡はない。たいてい部屋に来る時は、バイトが終わった時メールで一言連絡があるのに。
忙しくて、まだ閉店作業が終わらないのだろうか。
私は服を着て、髪を乾かした。必死に片付けた部屋を見たら麻人がなんて言うかとか、どうやって告白しようかとか、そんなことを考えてしまってついそわそわしちゃう。
だけど、深夜の一時をまわっても、麻人は部屋に現れなかった。さすがに遅い。
今日来ると言っていたのに、気が変わって帰ったとか? 夕飯まで作らせて、掃除までさせて? それもおかしい。律儀な麻人なら、何か急用で約束が果たせなくなった時は、連絡くらいしてくれるはず。
なんだか妙な胸騒ぎを覚え、彼に電話してみようと、携帯を開いた時だった。唐突に着信が鳴り出した。
びっくりして、携帯を落としそうになる。
麻人からかと思ったが、名前を見ると違った。店長だ。
「は、はい! お疲れ様です!」
思わずその場で正座してしまう。
「おう、お疲れ様。遅い時間に悪いな、寝てたか?」
「大丈夫です、全然起きてましたよー」