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可愛いヒモの育て方。
第21章 好きな人
麻人の手が、私の髪に触れる。指ですくようにして、そのまま頭を撫でられた。
「……あの日友梨香さんに好きって言われて、病院から帰ったあと、友梨香さんのこといっぱい考えました。友梨香さんの俺に対する接し方とか。少し前から、もしかしたらって思う時もあったけど、俺の頭の中は母親のことでいっぱいだったし、そういう余裕なくて……」
「……うん」
相づちを打ちながら、麻人を見つめる。今まで麻人が自分から、自分の気持ちを話してくれたことはなくて、言葉の一つ一つを探しながら紡いでくれる、それだけで嬉しかった。
「最初は友梨香さんちに行くのはただ自分の家にいたくなかったからで、夕飯作りや掃除をしていたのも、泊めてもらうお礼みたいな気持ちでした。でも、友梨香さんの家居心地が良すぎて、このままだとずっと居着いちゃいそうで、離れようって思った時。友梨香さんのことがすごく心配になって……」
「心配?」
「腐ったものとか食べてお腹壊さないかなーとか、食事じたい取らなくなって飢え死にしないかなーとか、ゴミ屋敷に住んでて衛生面が心配だなーとか」
「……あんたは私の親か」