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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱
ふと思う。麻人はどうされるのが好きなんだろう。どんなふうに触ったり、何をしたら悦んでくれるのか、私はほとんど知らない。
ファミレスで聞いた、彩乃の声が蘇る。
――パートナーの嗜好を知らないなんて。
ありえない! と憤慨する彩乃の言葉の真意が、今少しだけわかった。
今までずっと、麻人には私の願望を押し付けてきた。手錠を嵌めたり、上に乗ったり、したい時に誘って、何度も焦らしてねだらせたり。私の欲求ばかり満たさせて、彼から仕返しされると、負けたと言って理不尽に怒ったりもしていた。今思い返しても、独りよがりなセックスばかりだった。それが急に、申し訳なく思えてくる。
麻人が上になる時、たまに意地悪だけど、いつも私を気持ちよくさせてくれる。だから優しいと感じるし、上手なんだと今さら気付いた。私のことを考えて、セックスしてくれているからだ。
「あ、あ、……っ」
麻人のが、徐々に硬くなってくる。力加減に気をつけながら、強弱をつけて彼のに愛撫を繰り返した。
「イケそう?」
「わか……ない」
麻人はひときわ大きく息をついた。