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裸の女神
第5章 肉欲の薔薇
上品な大人の会話は、
瞳を洗礼するかのように、
新鮮であり、
高められているような、
不思議な感覚になる。

ジュリも大学で見る珠紀ではなく、
上品で洗礼された女性に見える。


「さて、
今日はこれでわたしは帰るよ。
長居をすると惜しまれない客になる」

そう言って、
岸田は会計を済ませて立ち上がる。

「では、わたしも」
司馬も席を立つ。

岸田は財布から一万円札を出して、
ジュリと瞳のそれぞれに渡す。

「少ないけど、
お店が終わったら、
何か食べるもよし、
タクシーでさっさと帰るもよし」

「有難う御座います」
瞳とジュリは岸田社長にお礼を言う。

「青山に来た時は連絡しなさい。
食事くらいなら、いつでもご馳走する。
下心込みでね」

と司馬も言い、

二人は店を出る。

出口まで見送り、
深々と私達は頭を下げる。


瞳の夜の蝶の一日が終わろうとしている。
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