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その、透明な鎖を
第2章  雨の匂いが


――さんざん煽っておいて、でも『待って』だなんて。
自分に手を出すか、出さないか。
それを試したのか?
でも、何のために?

……凛の考えてることが、わからない。
なにひとつ、わからない――――。


「凛……」


――それでも多分、俺は凛が好きだ。

凛のこと、知らないことだらけだけど。
気になって――気になって仕方がない。

会えないと、会いたくなって。
会うと、触れたくもなって。

それはきっと、好きだってことなんだろう。


……でも、凛は?
凛は、俺のことが好きなんだろうか。
嫌いだったら、あんなふうに煽ってきたりしないだろうけど。
途中で俺を止めたのは、まだそこまでは考えていなかったからか?


「……ああもうわかんねーし!」


女の子の考えることなんか。


「はあ……」


溜め息をつきながら、初めて味わうそんな感情に、悠斗はただ黙って身を委ねるしかなくて。


――凛も、俺のことが好きならいいのに。


そう、思いながら――……。



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