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蛇神様の花の宴
第2章 暗夜とお菓子作り
大学は二月の頭から年度末休暇に入っていた。

帰省していた美鎖は、屋敷の調理場を借りることにした。
目的は明日に迫ったバレンタインのためだ。
無謀にも手作りするつもりなのである。

屋敷は山奥の僻地にあるため、材料はわざわざ使用人に取り寄せてもらったものだ。
気を利かせてそれなりの質のものを揃えてくれたようだが、問題は美鎖の腕前だった。
果たしてどれだけの材料が、無事に食べ物になるだろう。

「大丈夫、レシピ通りにやればいいんだから」

美鎖はお菓子の本を広げながら腕をまくった。
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