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石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第12章 第三話・参
     【参】

 龍之助の葬儀はその二日後、和泉橋町の石澤邸において、しめやかに行われた。
 徳平店のお民の許には何の知らせもなく、葬儀が行われたことも後に知ったことだった。葬儀の翌日、石澤家用人水戸部邦親が訪れ、龍之助の形見の品を届けてきた。
 水戸部が持参したのは、石澤の屋敷に引き取られてから龍之助が愛用していたという玩具だった。でんでん太鼓と二羽の折り鶴を差し出した水戸部は意外なことを言った。
―この鶴は、殿が龍之助君とお二人で折られたものにございます。
 龍之助が石澤の屋敷にいたのはわずか半月ほどの間のことになるが、その間、嘉門はしばしば奥向きを訪れ、幼い息子との時間を愉しんでいたようであった。
―これまで奥向きなぞ滅多と訪れられたことのない殿がこの半月ほどの間は、毎日、脚をお運びになられました。
 あの男が龍之助と二人で愉しげに折り鶴を折っているところなぞ、およそ想像もつかない。だが、実の父親とそうやって少しでも父子らしい触れ合いを持つことができたというのなら、龍之助も少しは幸せであったろうと思う。
 だが、それでお民の石澤家への恨みが消えたわけではなかった。殊に、自分勝手な理由で龍之助を奪うように連れ去っておきながら、龍之助を嘉門の子ではないと言い捨てた祥月院に対しては、お民は静かな怒りを憶えていた。
 水戸部はまた龍之助の愛用した玩具と共に、錦の小袋に入れた遺髪をも渡していった。
―骨を分けることは叶わぬが、せめてこれを骨として供養してやって欲しい。
 嘉門はそう伝えて欲しいと言ったそうだ。
 お民はわずかばかりの遺髪を胸に抱き、慟哭した。
 そんなお民を、傍で源治が唇を噛んで見守っていた。
 実際のところ、龍之助が亡くなり、いちばん打撃を受けているのは源治かもしれなかった。
 お民はまだこうして感情を表に出すことができ、そうやって哀しみを幾ばくかでも外に出せる。しかし、源治はずっとその哀しみを内に抱えているのだ。
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