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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 どちらかといえば普段からのんびりとした知次郎が今日ばかりは切羽詰まった様子だ。その緊張ぶりに、ただ事ではないと悟った。
 平助と共に夜の中をひた走りに走って戻ってくると、大番頭茂平が出迎えた。沈痛な表情で頭を垂れ案内したのは、奥のお千香の部屋だった。
 お千香は居間に敷いた布団に横たわっていた。花のような顔に、白い布が掛かっている。
「何故、こんなことになった。お前らがついていながら、どうして、お千香を死なせた?」
 定市が怒りに震える声で茂平に言った。
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