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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 もし、その時、自分が生命に代えても定市の暴挙を止めることができていればと、おみつは今更ながらに口惜しい。意識を取り戻したのは、急を知らせに若い女中が呼びにきたときのことで、その時既にお千香はこの部屋で生命を絶った後であった。
 この部屋は、今も二ヶ月前の、お千香が生きていた頃と少しも変わっていない。
 おみつでさえ、こうしていると、ふいにどこかから、お千香の声が聞こえてくるような気がしてならない。
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