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喘ぐなら、彼の腕の中で
第12章 心の傷


週明けの月曜日。

腕時計の針が夜の9時をさしている。

本棚にもたれて、鳴りっぱなしの心臓を落ち着かせる為に、深呼吸を繰り返しているけど

約束の時間になった今、到底治まりそうもない。



“ あいつの仮面、剥がしてやってよ。
歪んだ心、治療してやって ”


─── 2日前、翔ちゃんが私に託した願い。

今日、この場所に来るまでずっと考えていたけど

どうしたらいいのか、何も思い浮かばなかった。


莉央の過去を聞いても、まだ見えない部分はあるし

その上で莉央は今何を考えてるのかなんて、教えてくれるはずも無い


だけど

莉央が隠す “ 闇 ” に、少しでも光を射しこむことが、私に出来るなら………


その時


「資料室ってのもあったか」
「……!」
「よく思いついたな」


扉を閉める音とともに、後ろから低い声が聞こえてきた。




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