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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度


「……かっこいいなぁ、沙月」


沈黙を破り、高揚した顔で翔ちゃんが口を開いた。

莉央の手を両手で握り、立ったままの私は
その声でやっと我に返る。


「俺がド真ん中きたわ。
やっぱりお前、いい女だよ」

「……へ?」

「しちゃったじゃん。
何もかもすっ飛ばして、逆プロポーズ♡」


~~~~!!!

全身にぶわっと鳥肌が立つ。

わ、わ、私………!!

翔ちゃんはもう止まらないらしく、1人でゲラゲラ笑っている。


ま、待って翔ちゃん。
笑う前にこの状況どうにかして。
って、暴走した私が作ったんだから、自分でどうにかしなきゃなんだけど。

てゆーか、家族の前だっつーのに私の手は何をしてるの!!

離した方がいいよね!?
離した方がいいよ!
はい、離します!!


「り、りりり莉央! ごめんなさい!」

「………」


火傷をしたかのように、私はものすごい勢いで莉央から離れた。
そして思わず自分の顔を覆う。


……ど、どうしよう……

ここにいる誰の顔も見ることができない。

ヒートアップした自分を鎮静化することでいっぱいいっぱいで

整理したくても、頭の中がまとまらない。




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